仮想通貨で暮らせなくなった
サラリーマンを辞めてから、独学で仮想通貨を勉強しながら3年間生きてきた。
ATOMのステーキング報酬と、たまにあるエアドロップで細々と暮らしていた。
生活費は月15万円ほどあればなんとか。裕福ではないが、自由な一人時間が何より幸せだった。
しかし、2025年になってから雲行きが怪しくなってきた。
仮想通貨全体が弱気相場に入り、資産は300万円以上目減り。
生活費の2年分が、一気に消えた。
いつか上がると期待していたトークンも、反発せず沈んでいく。
情報を追っても希望は見えず、開発の進捗や提携の話題にも反応がない。
ステーキング報酬もかつての半分以下になり、エアドロップも減った。
受け取ってもほとんど値がつかない。
ついに、3年間崩さずにきた資産に手をつけ始めた。
毎朝チャートを開くたび、胃の奥が重くなる。
一日が長く、モノクロの時間が過ぎていく。
人生がとてつもなくつまらなくなってきた。
──このままでは破綻する。
サラリーマンには戻りたくない
何か手を打たなければ、またサラリーマンに戻ることになる。
だが、人付き合いは苦手だ。それだけは避けたい。
時間も蓄えも、まだ少しはある。
だがもう、始めないと間に合わない。
一人で完結できて、自分のペースでできる仕事がいい。
収益の柱をもう一本つくるしかない。
物販との出会い
そんなときYouTubeで「アマゾンせどり」を見つけた。
調べていくと、アマゾンFBAという仕組みがとても便利だった。
商品を仕入れてアマゾンの倉庫に送るだけで、
注文が入ればアマゾンが梱包・発送・クレーム対応・返品処理まで全部やってくれる。
ヤフオクやメルカリでは、売れるたびに梱包や宛名書き、発送を自分でやらなければならない。
トラブル対応や値下げ交渉も日常茶飯事だ。
アマゾンなら、自分は仕入れに集中すればいい。
人に頼らず完結できるのは、自分の性格に合っていると感じた。
「でも、自分にできるだろうか──」
幸い、やり方を解説している動画は山ほどある。
あとは実際にやってみて、向いているかを確かめるだけだった。
車を買うことにした
物販を始めるにあたって考えた。
──車は必要だろうか?
仮想通貨で暮らしていた頃は、通勤もなく、乗るのは3か月に一度ほど。
そのたびにバッテリーは上がっていて、車検の時期が来れば安くても15万。
見た目は相当気に入っていたけど、「乗らないのに維持費が無駄だ」と判断して手放した。
それからは基本バイク。雨の日はバスや電車を使えばよかった。
普段の生活には、特に困ることはなかった。
ただ、ヤフオクで大きな荷物を売ったとき、800m先のコンビニまで抱えて歩くのは大変だった。
物販を始めれば店舗仕入れや発送頻度も量も増える。
さすがに車がないと厳しい。
最初は「車なしで始めて、無理そうなら買う」つもりだった。
集荷を使えば自宅完結もできる。
──そう考えてもいたのに、結局買ってしまった。
成功してから買えよ、という話だが、もう限界だったのかもしれない。
雨の日の予定調整も、天気予報の裏切りも、ジムを休む理由になるのも、全部飽きた。
車のない生活にも飽きた。
こうして車を手に入れたことで、もう本気でやるしかなくなった。
🟢 次回【第2部】へつづく
次回、「【第2部】ガレージに似合う車を探して──N-VAN e:とEV補助金との出会い」へ続きます。
雨の日を気にせず動けるように──車を手に入れたその日から、本格的に物販生活が動き出しました。